木の長所・短所

木には優れた点だけではなく、欠点もあります。特に「燃える」など、弱いイメージを持たれている方も多いことでしょう。戦後、住宅不足を短期間で解消する手段として、住宅のプレハブ化、工業化が推進され官民挙げて住宅の量産が続けられました。その中で木の弱点が致命的な欠点として誇大に吹聴され、放置されてきたこともひとつの要因と考えられます。しかし実際にはどの欠点も、対策を講じれば問題はなく、むしろ近年では化学物質に対するアレルギー問題、ダイオキシンを中心とする環境問題、CO2や地球温暖化問題、省エネルギー問題、ごみの処理問題、等々の諸問題に関して、多くの反省がなされ、木材の良さが改めて見直されています。

木の欠点は克服できる

一般的に木材の欠点とされている点は以下の6項目。
我が国の長い木造建築の歴史の中で、それぞれに対処方法が見出され、補うことができるものです。

短所01 燃える 木は、確かに燃えます。しかし、詳細は後述しますが、実は火に弱いとは言い切れず、むしろ燃え残る部分が強度を保ち、構造材として適していると捉えることができます。 短所02 腐る 腐ることの大きな要因は湿度と温度。また木の種類によって腐りやすさも異なります。風通しなどを考慮し、適材適所に使い分けることで解決することが可能です。 短所03 変形する 湿度に応じて膨張収縮し、また木表側に反る癖があります。変化の程度や反る方向を見定め、梁や鴨居などは、むしろこうした癖をたくみに利用した使い方をします。
短所04 割れる 木材が乾燥して収縮する変化が大きく、そのひずみが至る所にでることで起こります。防ぐことは難しいといわざるを得ませんが、構造的な強度への影響はほとんどありません。 短所05 節や色違いがある 特に杉材は白い部分と赤い部分が顕著にあらわれます。経年で色違いも節もほとんど気にならなくなり、近年ではむしろ無垢材の特徴として楽しむ方も多くいらっしゃいます。 短所06 シロアリに食われる 薬品による対策が一般的。ですが人体への影響も心配な上、薬品の持続効果は最大5年と言われており、その都度塗り直す必要があります。橋本建設では土台や大引などには防蟻性の高い檜を使用。さらに目視できる構造にすることで侵入を監視し、薬品に頼らない対策を施しています。

何ものにも代え難い木の長所

木には、その欠点を補って余りある優れた長所があります。
安全性だけでなく、快適な住空間をつくる上で、他の材では得ることができないメリットです。

長所01 圧倒的に軽くて強い
異なった種類の材の強度を比べるには同じ重さで比較します(比強度)。木材は引っ張り強さで鉄の約4倍、圧縮強さでコンクリートの9.5倍、曲げ強さでは圧倒的な強さを誇っています。
建築材料の比重
長所02 耐久性が優れている
桧材の柱などは伐採してから200年あまり経過した時期が一番強度が強いといわれています。工法や使用方法にもよりますが、しっかりと維持管理をすればゆうに100年以上強度を保ち続けられることは、歴史が実証しています。
建築材料の比重
長所03 火に弱くない

木材は熱を伝えにくい上、熱によって軟化しないという特長を持っています。350~400℃で自然に燃え出しますが、ある程度の断面を持った構造材の場合(150角以上)、表面は燃えても、その燃えあとが炭化層になります。そのためそこからの燃え方は非常に遅くなり、燃え残った部分の木材の強度は弱くならずにそのまま維持されます。一方、金属は熱を伝えやすく、高温になると一気に軟化や溶融が生じてしまいます。通常の強度が60%に低下するまでに木材は15分以上耐え続けますが、鉄は4分程度、アルミは3分程度しか持ちません。木は想像以上に火災に対する抵抗力が大きく、決して火災に弱いとは言い切れないのです。

鉄・アルミニウム・木材の加熱による強度の低下

長所04 断熱性能が優れている
コンクリートや、鉄、アルミなどが木と比べてはるかに熱を伝えやすいことは冬に冷たく、夏に熱くなることから、おわかりでしょう。熱を伝えやすいと外気の影響を受けやすく、冷暖房の効率が極端に悪くなります。
断熱材とその他の材料との断熱性の比較(同一厚さ)
長所05 調湿作用がある
室内の空気が湿っていれば湿気を吸い取って湿度を下げ、空気が乾いていれば水分を放出して室内の湿度を上げてくれます。つまり、木は室内の湿度を安定させ、結露も発生しにくくする性質を持っています。
長所06 加工がしやすい
鉄は専用の機材がある工場でなければ加工が不可能ですし、コンクリートは型枠などがなければ造ることができません。一方、木は簡単な道具で加工することができる上、取り替えや補強・補修もできる加工性に優れた素材です。
長所07 人にも地球にも優しい
自然素材である木が人畜無害であることは言うまでもありません。それどころか、肌触りや香りの良さなどから得られる癒し効果が注目されています。また有限の材料を必要とする鉄やコンクリートに比べ、時間はかかりますが、木材は育てることが可能です。そして木はCO2を蓄え、酸素を放出。地球環境の保全に欠かせない優れた資源です。
素材について木曽東濃檜