木の長所・短所

橋本建設の家造り

木の長所・短所

木には長所、欠点があります。
この長所と欠点をよく理解して、長所はうまく生かし、欠点は補うように使用することでその性能を充分に発揮してくれますので、あらかじめ知っておく必要があります。

欠点

まず、欠点といわれるものを列挙してみます。

  • イ)燃える
  • ロ)腐る
  • ハ)変形する
  • ニ)割れる
  • ホ)色違いや節がある
  • ヘ)シロアリに喰われる

以上、6項目くらいが欠点といわれることだと思いますので、それぞれに対処方法を述べてみます。

イ)燃える、
ことは火に対して弱いと結論付けるのは少し違います。
これは、後で詳しく述べます。
ロ)腐る、
ことは事実ですがこれにはいくつかの条件と木の種類が関係します。
(腐る条件は適切な適当な温度と湿度、風通しの悪いことなどがあります。
これらを組み合わせ適材適所に使用することで解決できます。)
ハ)変形する、
ことも事実です。奈良の法隆寺を解体修理した際1300年以上経過していたにも係わらず、屋根の瓦など重たい物を取り除いたら垂木が3cm以上も持ち上がって,一夜で元の高さに戻ったことは有名です。
木材は膨張収縮の他に木表側に反る癖がありまして、梁や鴨居などはこの癖をたくみに利用した使い方をします。
敷居や鴨居の溝加工
ニ)割れる。
木の最大の欠点に割れることがあります。
割れる原因は木材が乾燥して収縮する変化が大きいため に、そのひずみのしわ寄せがあちらこちらにでることでして、なかなか防ぐことは難しいといわざるを得ません。
しかしこの欠点による構造的な強度への影響はほとんどないに等しいため、余り問題になりません。割れを許容する寛容さが要求されます。
ホ)色違いや節がある。
特に杉材は白い部分と赤い部分が顕著にあり,気にされる方がおられますが、(通称源氏と平家をもじって、このような赤白混合材を「源平」と呼んでいます。)顕著な色違いも節も1年経過するとほとんど気にならなくなりますので、コストを考えるとやはり1〜2年待たれる寛容さが必要です
ヘ)シロアリの喰害。
ご存知のように木はシロアリの害にさらされております。
以前はシロアリ自体を殺傷するための薬剤を施すことで防いできましたが、生き物を殺傷する薬剤は人体にも影響があるということで、現在は薬剤を使用しないか、シロアリの嫌いな(ヒバ油)の塗布などが行われております。
ベタ基礎で、土台の周りが目視できる構造ならば、シロアリの侵入は目で確認できますので気をつけて監視することで防ぐことができます。

長所

次に長所をあげてみましょう。


※木と鉄やコンクリートを比較した場合
  • イ)軽い
  • ロ)強さ(比強度)のバランスが良い
  • ハ)火に弱くない
  • ニ)耐久性に優れている
  • ホ)断熱性能が優れている
  • ヘ)調湿作用がある
  • ト)加工がしやすい
  • チ)人に優しく無害
  • リ)再生可能な資源である

イ)軽い

ロ)強さのバランスが良い。

同じ断面で比較した場合、鉄やコンクリートより弱いことは事実ですが、実際には同じ断面で使用されることはありません。
鉄は比重が7.8と非常に重い為、薄く加工して軽くしないと使用できませんし、コンクリートも鉄筋と合わせて比重が2.4と木材の比重0.6(乾燥した状態の平均)の4倍も重いので必要な強度を得るためには大きな断面を必要とします。
このように異なった種類の材の強度を比べるには、その材料の強さを同じ重さで比較します。これを比強度と言います。比較表をご覧下さい。

<建築材料の比重>
材料 木材 コンクリート
比重 0.40 2.40 7.86
引張
強度 900 20 4,000
比強度 2,250 10 509
圧縮
強度 380 200 3,500
比強度 950 100 445
曲げ
強度 700 20 4,000
比強度 2,800 7 182
(強度の単位はkgf/cm2

 上表でわかるとおり、木材の(比強度)は引っ張り強さで鉄の約4倍、圧縮強さでコンクリートの9.5倍、曲げ強さは比較するのが馬鹿らしいほどの強さを持っていることがおわかりいただけると思います。

ハ)木は火に弱くない。

多くの方が木造は鉄等に比べて火に弱いと誤解されておりますが、それは木が燃えることから受けた、誤解であるということをお話しします。

もちろん木が火に強いとは申しませんが、火に対して鉄やアルミ、それに塩ビ製品が木より火災に強いとは決して言えないのです。
(また、コンクリートは火には圧倒的に強いです。これはコンクリート唯一の長所です。)

木材は燃料として使われるくらいですから、燃えやすく、したがって火事に弱いと考えられるのは無理のないことです。一方、鉄やアルミ、プラスチックなどは、火事の際、木材のように炎を出して燃えることは少ないのですが、温度が上昇すると比較的低い温度で急速に強さを失い、軟化してしまいます、ちなみに鉄は500℃になると強さは常温の時の半分になってしまいます。アルミは660℃で溶けてしまいます。

<鉄・アルミニウム・木材の加熱による強度の低下>

木材はそれより低い温度350〜400℃で自然に燃え出しますが、有る程度以上の断面を持った構造材の場合(150角以上)、表面は燃えても、その燃えあとが炭化層になるため、それからの燃え方が非常に遅くなります。
又、燃え残った部分の木材の強度は弱くならずにそのまま維持されます。

もともと木材は熱を伝えにくい上、熱によって軟化しないという大きな特長を持った優れた材料なのです。一方、鉄やアルミは熱を伝えやすい材料なので、温度が高くなると一気に軟化や溶融が生じてしまいます。一度高温にさらされると、全ての材質が変化して、再使用は不可能です。
表をご覧になればおわかりいただけると思いますが、火事の際には、燃える時間と、高温に強いか弱いかが重要な意味を持ちます、火事に強いということは、燃えない上に、高温に対しても強くなければなりません。

(今捨てたタバコの温度が800度)というコマーシャルをご記憶の方がおられると思いますが、火災の際に温度は、すぐに500度以上になります。

最初、家具や台所の油などから火がつき、次第に構造材へと燃え広がって行きますが、15〜30分経過した後、急激に火が強くなった時には、1000℃にも達するといわれておりますから、そのような場合、鉄やアルミの材料はすべてアウトです。鉄骨の骨組みは火災の持続時間によっては建物が崩壊する危険がありますし、崩壊しなくても、その材質は軟化によってすっかり強度を失って使い物になりません。

通常の強度が60%に低下するまでに木材は15分以上耐え続けますが、鉄はわずか4分くらい、アルミは3分位しか持ちません。木は想像以上に火災に対する抵抗力が大きいのです。

ちなみに広島市の消防署は何処の区域でも火事の通報を受けてから、消防車が実際の火災現場に到着するまで8分以内を維持しているそうです。

つまり、火事の際はまず119番通報をすばやく正確に行った後、火災の広がりを他の部屋に広がらないように8分間以上頑張っていますと、消防車が到着して消火に当たってもらえるはずです。
そして、消火活動の結果燃え残った木の構造材は強度が維持されておりますのでそのまま再使用が可能です。 このことは改修の際大変有利になります。

以前は木造住宅の場合、火災保険も構造材がきれいに燃え尽きないと全額支払われないため、「火事になったら人身に影響がない場合、全焼して欲しい」と言われた物です。(現在は半焼でも全損失扱いになるケースがあるようです)
そして火災の際問題になるのは有毒ガスの発生です。木は燃えた時に煙やガスの発生が比較的少ないのが特徴ですが、プラスチックや化学建材の一部には有毒ガスや猛毒ガスを発生させるものも有るようですので、注意が必要です。

このことからも総合的に判断した場合、木が火災に弱いとは言い切れないことがお分かりいただけると思います。

二)耐久性が優れている

耐久性に関しては、工法や使用方法にもよりますが、しっかりと維持管理をした場合100年以上経過しても楽々強度を保ち続けられる素材は木しかありません。

木の中でも桧材の柱などは伐採してから300年あまり経過した時期が一番強度が強いといわれております。
鉄は玉鋼(たまはがね)などの一部の高品質のはがねなどでない限り、錆びて表面から崩壊が始まり、数十年で危険な状態になる場合がありますし、コンクリートは打設後30年で弱アルカリ材の塗布などメンテナンスを必要とします。 放置しておいた場合中の鉄筋が錆びて膨張し、崩壊していくことが確認されております。

住宅に使用した場合、しっかりした構造で、水周り(屋根、軒、風呂、洗面、トイレ、結露)の管理を充分に行えば、50年はおろか100年でも200年でも維持できる素材は、木意外に有りません。

自然素材でありながら、このように耐久性に優れた素材は木以外には考えられません。

ホ)断熱性能が優れている

断熱材とその他の材料との断熱性の比較(同一厚さ)
断熱材 木材 土壁 コンクリート
失熱1 失熱約2倍 失熱約15倍 失熱30〜40倍

重くて暖まりにくく、さめ難いコンクリートを暖めるには、木材の15〜20倍の熱が必要です。コンクリートの建物では、冬の朝など、暖房を入れて室内の温度は上がっても肌寒く感じるのは、壁や天井の温度が上がりにくいため、人体が輻射熱をうばわれるからです。
逆に夏はコンクリートの屋根や壁に太陽の熱が蓄積されて、夜通し放熱されるため冷房も余り効かず、暑苦しくて眠れないなどということになります。

コンクリートや、鉄、アルミなどが木に比較して、はるかに熱を伝えやすいことは周りが寒い時に触ってみて冷たいことから、おわかりのように、人の触れるところには敬遠されますが、アルミはガラス以上に熱を通しますので、目に見えない大きなすきまを抱えているようなものなのです。これからは木製サッシが見なおされてくると思います。

へ)調湿作用がある

木の最大の特長は他の材料にはまったくない、調湿性があることです。

室内の空気が湿っていれば、その空気を吸い取って湿度を下げてくれますし、空気が乾いていれば、木から水分を放出して室内の湿度を上げてくれます。つまり、室内の湿度を安定させてくれるのです。

正倉院の宝物が1300年もの間保存されてきたのは、あの校倉造りのおかげであることは、皆様良くご存知の通りです。

又、桐のたんすが、着物を良く保存してくれるのも、この調湿作用のおかげなのです。
木のこの働きは、当然人間の健康にも好影響を与えてくれます。

室内の水蒸気がどんどん増えたり、温度が下がって関係湿度が上がり、100%を超えますと、水滴になります。つまり、結露が発生するわけです。

冬の夜など屋外の温度が低くなると窓が曇りますが、アルミサッシの窓下に溜まることさえ珍しくありません。

コンクリートの壁なども結露しやすく、空気が溜まるたんすの裏などは、良くカビだらけになったりします。

もっと困るのは押入れの中の結露です。寝具から発生する水分が、冷たいコンクリートの壁に当たって結露し、その水分を又、寝具が吸い込んでしまい、難しいことになります。壁の中の鉄骨の結露ともなりますと、もう手の打ちようが有りません。

木造住宅の場合柱一本でビール瓶2本分もの水を吸ったり吐いたりしてくれますのでその調湿作用は意外に大きな効果をもたらしてくれます。(より効果的にするために私達は、柱やはり等、構造材を極力室内に露出させるよう提案しております。)

木造住宅には、日差しを和らげるとか、はだ触りが良いとか、吸音性が良いとか、香りが癒し効果がある等の、多くの優れた特長があります。
これらの特長を総合して見た時に、いまさらのようにわが国の気候風土に巧みに適合してきた、木造住宅の伝統のすばらしさを感じずにはいられません。

私達が木造りの家をお勧めしたいのは、木がこのように優れた材だからなのです。

ト)加工がしやすい

ご存知のように鉄は鉄工所など専用の加工機がある工場でなければ、加工することは不可能ですし、コンクリートは型枠などの入れ物を作らなければ造りだすことが出来ない素材です。

それに比べて木は簡単な道具で加工することが出来る上、出来た製品を取り替えたり、加工したりすることが出来ますし、補強や補修もできる実に加工性に優れていることが他の素材にはない特徴といえます。

チ)人に優しく無害である

鉄は錆を防ぐために、メッキや錆止塗料の塗装などを施さなければなりません。
メッキや錆止め塗料などは、人体に悪影響のある鉛や、塗料を使用せざるを得ませんし、コンクリートは主原料の砂が不足して海の底を掘り返して海産物の被害で問題を発生させてリ、骨材としての砂利が不足してアジア諸国から購入したり、しているのが現実です。

その点木材は自然素材ですから全くの人畜無害の素材ですし何の心配もありません。

リ)木は鉄やコンクリートに比べて再生可能な資源である

鉄は鉄鉱石と溶鉱炉がなければ生産できませんし、有限の素材です。

コンクリートも原材料のセメントや砂、砂利などが有限の材料です。
現在リサイクル法が制定されて砂利などは再生利用されるようにはなりましたが、まだまだ有効に再生できる状態にはありません。

その点木は、製品化されたものでも、再利用できますし、新素材でも使用すればするほど私たちの社会環境が活性化されます。その上、山林資源が再生されて、エコライフが推進され良いことずくめのサイクルになるのですが・・・

2008.8 文責 河井 英勝